ドローンの自律飛行に欠かすことのできないGNSS(GPS/GLONASS)とは

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GPSという言葉を聞いたことがない人はいないのではないでしょうか?

それだけGPSは身近なものになっています。カーナビからスマホに限らずドローンの自律飛行や目視外での飛行にもGPSは欠かせないものになってきました。

しかし、GPSは位置を計測する(以降、測位という。)ものということしか知らない方も結構いるかと思います。

そこで、ここではGPSについて詳しく知りたい方のためにできる限り分かりやすく説明したいと思います。

GPSとは

GPS(Global Positioning System)とは日本訳で「全地球測位システム」といいます。地球上のどこにいたとしても自分の位置を正確に知ることができるアメリカ発のシステムです。

GPSは複数のGPS衛星と地上のGPS受信機で構成される地球規模のシステムです。地球上のどこにいても測位できるようにするために、24基以上のGPS衛星が軌道上を周回しており、地球上のどこからでも常に4基以上の衛星が観測できるように配置されています。

※測位するためには、最低4基のGPS衛星が観測できなければなりません。

GPS衛星は、上空約20,200km以上の軌道上を周回しており、約11時間58分2秒で地球をぐるっと一周します。GPS衛星には一般の時計とは比べ物にならないほど正確に時を刻む「原子時計」というものが搭載されており、GPS衛星から発信される測位用の電波(L1帯:1,575.42MHz、L2帯:1,227.6MHz)を地球上のGPS受信機で受信し、それぞれの衛星の距離を正確に計算し求めることで測位できるようになっています。

GPSの歴史

1973年にJPO(Joint Program Office)が設立されたことにより、アメリカでGPSの開発が始まりました。1978年に第1号のGPS衛星が打ち上げられ、システムの評価試験等を経て、1993年12月に正式に運用が宣言されました。1996年には全てのGPS衛星の配置が完了し地球全体が測位可能となりました。

2000年まではSA(Selective Availability(選択利用性))というアメリカによる意図的なGPS測位精度の劣化がされていました。GPSはもともと軍事で利用するために開発されたシステムでしたので、他国(敵国)に利用されないために精度をあえて悪くしていたようです。しかし、それも2000年に廃止され、民間でも精度良くGPSを活用できるようになりました。

現在でもより良い精度を誇るYコードと呼ばれるものは、軍事用として民間には公開されてはおらず、民間ではC/Aコードと呼ばれるコードを利用して測位を実施しています。

GPSの仕組み

GPSの仕組みについて数式を用いて説明するのは難しいかと思いますので、ここではGPSの仕組みについて概要を理解して頂ければと思います。

地球上にいる私たちがGPSを使って知りたいことは何でしょうか?

  • 緯度(X座標)
  • 経度(Y座標)
  • 高度(Z座標)

この3つの座標ですね。

3つ求めたいもの(未知数)があるということは、3つの方程式を解くことで求められます。(中学生のころに習った連立方程式を解くということです。)

この3つの方程式はGPS衛星と地球上のGPS受信機との間の距離に関する方程式です。

まず、GPS衛星から発信される電波には航法メッセージという情報がのせられており、ここから衛星から地上の受信機までどのくらいの時間をかけて電波が伝搬したのかがわかります。この時間に電波の速度(光の速度)を乗算することで衛星と地上の受信機までの距離を求めることができます。

距離はそれぞれの衛星と地上の受信機との間の距離です。衛星の座標は既知のもので分からないのは地上の受信機の座標だけです。衛星と地上の受信機の距離の幾何学的な距離の計算は、衛星と受信機の座標の差分(X,Y,Zそれぞれについて)を2乗して足し合わせ平方根(ルート)を取ることで得ることができますので、それと先ほど電波から求めた距離を使えば方程式を組むことができます。

ここで、未知数が3であれば方程式は3つであればよく、したがって補足する衛星は3基あればいいのではと思いますよね。

冒頭で測位するために必要なGPS衛星の数は最低4基と言いましたがそれとは矛盾します。それは地上の受信機の時計はそれほど正確ではないためです。

GPS衛星に搭載されている原子時計と呼ばれるものは、300年に1秒程度の誤差しかないほど正確なものです。対して地上の受信機にそんな原子時計などを搭載することはできないため、通常の腕時計と同じ水晶を使用した時計を使っています。これは10日前後で1秒ほどの誤差が出るレベルですので、原子時計と比べてその正確性は段違いに悪くなります。

よって、この受信機側の時計の誤差がもう1つの未知数となり、結果的に4つの方程式が必要となるのです。

これがGPSで測位に必要なGPS衛星の数は4基とお伝えした理由であり、これら4基から導かれる4つの距離の方程式を連立して解くことで、今あなたがいる場所の座標が導かれるのです。

※できるだけ分かりやすくするために、ここでは電離層などによる誤差の説明や気象モデルによる補正等の説明は避けています。

各国のGPS

GPSとはアメリカが開発・実用化し、それを民間にも無償で利用できるようにしたシステムです。しかし、それはアメリカに依存しているということになり、悪い言い方をするとアメリカの気分しだいでGPSは利用できなくなってしまう可能性がないわけではありません。

そこで、各国で独自にGPSに代わるシステムを構築しはじめています。

このようにGPSという名称はアメリカの測位システムのことを指し、これら各国の測位システムを総称してGNSS(Global Navigation Satellite System)と呼びます。つまり、GPSはGNSSに包含される存在です。

GPSに代わるシステムの代表的なものは、

  • ロシアのGLONASS
  • 欧州のGalileo
  • 中国のBeiDou

などです。このうちロシア版GPS「GLONASS」は実用レベルに至っており、民間でも利用が可能なものになっています。

実はドローンでもこのロシア版GPSともいわれるGLONASSを利用できるものも存在します。GLONASSが利用できると何がいいのか?それは測位精度が向上するためです。

GPSとGLONASSを併用して利用することで、補足できる衛星がGPSだけの場合よりも格段に安定します。衛星はどんな場所からでも見えるわけではなく、山やビルなどの陰に隠れたりして衛星数が少なく測位精度が悪化することもあります。

そこでGPSとGLONASSを併用することで補足衛星数を安定させることができるのです。

日本版GPSはないのか?

「準天頂衛星システム」という言葉をお聞きしたことはあるでしょうか?

これは日本の上空(天頂)に常に静止させておくことで日本国内の測位精度を向上させるためのシステムです。これはGPSありきのシステムで、GPSと併用させることで測位精度を上げるため、先にお話しした地球規模のシステムであるGNSSとは異なる存在です。

この「準天頂衛星システム」を併用することでなぜ測位精度が上がるのかについてお話ししましょう。

「準天頂衛星システム」は、静止衛星と呼ばれる衛星で構成され、地球の自転と合わせて軌道上を周回しているため日本の上空(天頂)に常に留まっている衛星です。

衛星はどうしても山やビルなどが遮蔽物となり補足できないものが発生してしまいます。この点、静止衛星は常に真上に鎮座してくれているため、天井が開けた場所であれば常に補足可能であり、これと従来のGPSを併用することで高精度の測位を可能としているのです。

まとめ

GPSとはアメリカの地球上どこにいても自分の位置を測位することができるシステムです。

GPSの測位の仕組みについては、なるべく数式は使わずに分かりやすくしたかったのですが、かなり難解に感じてしまったかもしれません。

ドローンに関してはGPS(GNSS)を活用して自律飛行をする場面は今後増えていくと思われます。ドローンによる荷物の配達も恐らくGPS(GNSS)を用いた航法システムが搭載されることでしょう。

この記事を読んでGPSについてのイメージを少しでも掴めて頂けたら幸いです。

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