ドローンによっては“気圧センサ”というものが搭載されているモデルがありますが、“気圧センサ”とはドローンの何に使用されるものなのでしょうか。ここでは、ドローンに気圧センサを搭載する目的、また気圧センサの簡単な仕組みも交えてご説明します。
気圧センサとは
気圧センサとは空気が押す力の程度を検知するためのセンサです。圧力センサともいいます。
普段私たちは空気の中で生活していますが、実は私たちの体はあらゆる方向から空気の圧力(空気から押される力)にさらされているのです。
大気圧という言葉を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。大気圧とは、空気から押される力(圧力)そのものです。これは地上に近ければ近いほど強く、上空に行けば行くほど弱くなります。(宇宙は空気がないということは誰でも知っていると思いますが、要は宇宙は空気がないため大気圧≒0、つまり私たちが普段の生活で無意識に感じているあらゆる方向からの空気の圧力が0になるということです。)
なぜドローンに気圧センサを搭載するのか
ドローンに気圧センサを記載する目的は2つあります。
まず1つ目は、ドローンが飛行している高度を計測するためです。もう1つはドローンが飛行している速度を計測するためです。
飛行高度を計測するための気圧センサ
大気圧が地上に近ければ近いほど強く、上空に行けば行くほど弱いというのは既にお話ししたとおりです。
この原理を利用して、気圧センサをドローンに搭載することによってドローンが飛行している高度を計測することができます。その仕組みは単純なもので、気圧センサではその飛行高度に応じた圧力を検知することができます。まず、飛行前に地上で気圧センサで検知された値を保持します。ドローンが飛行に移れば、そのときの気圧センサの値と周囲の温度、飛行前に地上で検知した気圧センサの値から、現在ドローンがどの高度を飛行しているのかを計算することができます。
この際使用される気圧センサは、“静圧センサ”と呼ばれるもので、静圧センサとは無風状態の純粋な大気の圧力を検知するものです。
気圧センサは非常に繊細なもので、風が気圧センサに当たるとその風の圧力も検知してしまいます。風のせいで気圧センサが検知する圧力が不用意に変動してしまうと、無風状態の純粋な大気の圧力が検知できません。
そこで静圧センサは、ドローンの筐体内部など、風の影響を受けない位置に搭載されることが多くなります。
※ここでいう飛行高度とは「気圧高度」と呼ばれるものです。
飛行速度を計測するための気圧センサ
気圧センサはドローンの飛行速度を計測する際にも使用されます。
ここで使用される気圧センサは、“差圧センサ”と呼ばれるものが使用されます。
差圧センサは静圧センサとは違い、積極的に風の圧力を計測します。風の圧力といっても機体が移動することで受ける前方からの風のことです。
さらに、差圧センサは“総圧”と“大気圧”を同時に検出することが可能です。“総圧”とは風の影響も含めた圧力のことで、“大気圧”は風の影響を除外した圧力です。差圧センサは“総圧”から“大気圧”を差し引くことによりその差分(差圧)を検出するセンサになります。
差圧が検出されれば、その差圧に対応した風が進行方向からきているということであり、そこから機体の飛行速度を計測することができるのです。
航空機ではこれら“総圧”と“大気圧”をうまく分離して差圧センサまで圧力を導くために“ピトー管”というものを搭載しています。
ドローンもこれから飛行速度が速くなればピトー管を搭載したものが増えてくるかもしれませんね。
※ここでいう飛行速度とは「対気速度」と呼ばれるものです。
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